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アクセス解析で明らかにする!サイト改善のための課題発見&施策指南

アクセス解析→サイト改善


Webサイトを運営していて、「アクセスはあるけど成果につながらない」「どこを直せばいいかわからない」という悩みは多いはずです。

アクセス解析は、ただデータを眺めるだけでは意味を持ちません。的確な課題発見 → 仮説設定 → 検証 →改善という流れで使いこなすことで、サイトの成果(問い合わせ・購入・会員登録など)を伸ばす武器になります。

本記事では、アクセス解析を入口として、サイト改善につながる課題発見のプロセスと具体的な改善アプローチを、ステップ・チェックリスト・具体例付きで解説します。

アクセス解析で見るべき指標と役割

まず「何を見れば課題がわかるか」を整理しておきます。ただ指標を並べるだけでなく、なぜその指標が意味を持つのかを理解して、仮説に結びつけられるようにします。

指標役割・意味典型的に注意すべき水準や傾向
セッション数 / 訪問数全体の母数。集客の量を把握増減トレンド、広告・SNS発信との相関を見る
ユーザー数 / 新規ユーザー率新規誘引力、リピーターの割合新規がほとんど、あるいは既存ばかり、の偏りに注意
ページビュー (PV)各ページの閲覧数(人気ページの把握)特定ページに集中しているかどうか
平均ページ/セッションユーザーの閲覧深度少なすぎる → 関心引けていない可能性あり
平均滞在時間コンテンツが読まれているかの目安あまりにも短い → 内容や回遊性に課題あり
直帰率一ページだけでの離脱割合高すぎると “他のページに誘導できていない” 可能性あり
離脱率最終閲覧ページでの離脱割合最後に見られやすいページに注意
流入元(チャネル別)検索/SNS/広告/参照サイト別の流入量期待通りのチャネルが弱ければ強化対象
ユーザー属性/デバイス性別・年齢・地域、PC/スマホ比率などスマホ比率が高いならモバイル最適化優先
コンバージョン率 (CVR)、コンバージョン数 (CV)サイト目的(成果)に直結する指標流入だけでなく成果につながっているかを重視 
目標達成率 (KPI/KGI)目標に対して現在どのくらい進んでいるか目標とのギャップを可視化して改善方向を示す 

※指標はすべて万能ではなく、サイトの目的(EC/情報サイト/問い合わせ型サイトなど)によって重要度が変わります。

課題発見のための分析手法・思考の枠組み

良い改善は「データ → 仮説 → 検証」の流れからしか生まれません。以下の枠組み・手法を使って、アクセス解析データから改善点を見つけましょう。

1 マクロ → ミクロの視点で見る

まずは全体(マクロ)を把握し、その後にページ単位やセグメント分析(ミクロ)へ落とし込む。 

例:

  • マクロ視点:全体のセッション数が減ってきている
  • ミクロ視点:特定の流入チャネル(例:検索流入)が減っている
  • さらに:そのチャネルで入ってくるキーワードやランディングページ別に分けて落とし込む

2 定点観測 vs 仮説検証

  • 定点観測(モニタリング):主要な指標(セッション、CV率、直帰率など)を定期的にチェックし、異常変動や傾向変化を早期に察知する。 
  • 仮説検証:定点観測で異変をとらえる → 仮説を立てて深堀り分析する → 検証可能な指標で比較・検証する (例:特定ランディングページの離脱率が高い → スクロール率、CTAクリック率、セグメント別離脱率などを分析)

3 セグメント分析・比較

ユーザーを以下のように分割し、「どのセグメントで数値が悪いか」を探す:

  • 流入チャネル(Organic/Paid/SNS/参照サイトなど)別
  • 新規 vs 既存ユーザー
  • デバイス別(PC/モバイル)
  • 地域別・言語別
  • ランキング上位キーワード vs その他キーワード
  • ランディングページ別

たとえば、モバイルユーザーの離脱率が高ければ、モバイルUX改善が課題になる可能性が高い。

4 行動フロー・遷移パス分析

サイト内でユーザーがどの経路をたどっていっているか(ランディング → ページ遷移 → 離脱)を可視化し、「ユーザーが途中で離脱しやすいポイント」を見つける。

Google Analytics(GA4)などには「エクスプローラー(探索)」レポートで経路分析ができるようになっています。

5 外部要因との因果・相関チェック

アクセス変動には、サイト内部以外の要因(SEOアルゴリズム変動、広告配信停止、季節変動、競合サイトリリースなど)が絡むこともあります。

定期的に「前期比・前年同時期比」で比較し、急激な変化には外的な要因も疑うことが重要です。 

よくある改善パターンと具体施策例

下記に、アクセス解析から見つかる典型的な課題と、それに対応する改善施策例を挙げます。

課題原因仮説例改善施策案
直帰率が高いファーストビューで魅力がない、キャッチが弱い見出しを改善/魅せる画像やメリットを冒頭で提示
平均滞在時間が短いコンテンツの構成が読み進めにくい/導入が冗長見出しを増やす、段落を短めに、目次を設けて読みやすく
回遊率が低い(ページ移動が少ない)内部リンクが弱い、関連記事が目立たないサイドバー・記事下に関連記事リンク/CTAリンク強化
特定ページで離脱が集中CTAが分かりにくい、アクション誘導が弱いCTAボタンの色・文言・位置を見直し、ABテスト実施
モバイルでの離脱率が高レイアウト崩れ・読み込み遅延・タップしづらい要素ありモバイル最適化(レスポンシブ調整)、画像圧縮、タップ項目余白確保
流入チャネルの偏りSEOだけ強く広告やSNSが弱いSNS施策強化、広告展開、新チャネル開拓
検索キーワード別流入が乏しいSEO内部対策・キーワード選定不足コンテンツ拡充/ロングテールキーワード対策
CV率が低い導線が分かりにくい/フォーム入力が面倒導線整理、フォーム項目減、入力支援(EFO)導入 

具体例:

  • ECサイトで「商品詳細ページで離脱が多い」 → 商品画像切れ/説明不足/レビューがない → 説明文拡充、Q&A・レビュー追加
  • 会員サイトで「登録完了まで到達しない」 → フォームが多すぎる → 入力ステップを2段階に分ける、必須項目を見直す
  • ブログ運営で「検索流入はあるが滞在時間が短い」 → 読者のニーズと記事内容のズレ → タイトル・冒頭/見出し改善、読ませる構成に変更

改善を実行する前の注意点、落とし穴

改善を“やる”ことは簡単ですが、誤った改善や過剰改善によって逆効果になることがあります。以下の注意を押さえておきましょう。

1 データの信頼性をチェック

アクセス解析ツールの設置ミス・重複トラッキング・フィルタ誤設定などでデータがゆがんでいることがあるため、解析前に計測設定を点検する必要があります

2 小さな変動に飛びつかない

日次の小さなグラフの上下だけで一喜一憂して改善施策を変えると、施策の評価がブレてしまう。一定期間(例:1〜2週間、もしくは1ヶ月単位)で傾向を見て判断する。

3 因果と相関を混同しない

「AとBが同時に動いているからAが原因でBが動いた」と決めつけない。可能であればABテストや分割テストを実施して仮説を検証する。

4 改善のコストと効果を比較

改善には工数・コストがかかる。効果見込みと手間のバランスを考え、まず手が付けやすいところから優先順位をつける。

5 改善を一気にやりすぎない

大幅なUI刷新などは意外とユーザーにはマイナス影響を与えることも。「一度に多数の変更を投入 → どれが効いたか不明になる」パターンを避け、一部ずつ検証しながら進める。

PDCA運用/継続改善の体制づくり

改善を1回やって終わり、では成果は持続しません。継続的に改善を回すための体制や習慣を整えることが不可欠です。

1 KPI/KGI設定とモニタリング体制

  • KGI(最終目標):売上、問い合わせ件数、会員登録数など
  • KPI(ステップ指標):サイト訪問数、滞在時間、回遊率、CTAクリック率、離脱率など これらを月次/週次で定点観測できる形を整える。 

2 レポート化と関係者共有

改善案・仮説・実施内容・結果を定量的にレポートにまとめて関係者に共有する。透明性を持たせることで方針ブレを防止。

3 定期的な見直しと仮説の更新

市場やユーザー属性は変化するため、過去の仮説が通じなくなることもある。定期的に仮説の棚卸しを。

4 小さな改善を積み重ねる

大きな改修よりも、小さな改善(文言変更、色の調整、リンク追加など)をたくさん積み重ねたほうが変化を察知しやすく、リスクも低い。

まず手をつけるべき改善項目チェックリスト

以下のチェックリストを使って、あなたのサイトで優先的に点検・改善すべき箇所を洗い出してみてください。

  • アクセス解析ツールは正しく設置・設定されており、データに矛盾・欠落がないか
  • 全体指標(セッション数・CV数・平均滞在時間等)に異変はないか
  • 流入チャネル別で偏りが大きすぎないか
  • モバイル/PC別でパフォーマンスに差はないか
  • 直帰率・離脱率が高いページはどこか
  • 平均滞在時間が極端に短いページはどこか
  • 回遊率が低い傾向ページはないか
  • ランディングページ別にCV率の差異はないか
  • CTAの見え方・誘導性は最適か(ボタン文言・位置・色など)
  • フォームの入力項目は最小限か、使いやすいUIか(EFO導入も含めて)
  • 内部リンク・関連記事リンクが適切に張られているか
  • ページ読み込み速度は十分速いか(特にモバイル)
  • ユーザー属性(地域/年齢など)がターゲットと乖離していないか
  • 改善施策を少しずつ導入し、ABテストなどで効果を検証できる体制になっているか

まとめ:まず着手すべき3ステップ

  1. データ環境を整える:解析タグ/設定ミス・重複漏れがないか確認
  2. マクロ指標+セグメント分析でボトルネックを探す:直帰率/離脱率/流入チャネル別/デバイス別など
  3. 仮説 → 小規模改善 → 検証 →横展開 を繰り返す

この流れを継続して回すことで、アクセス解析は単なる数字の羅列ではなく、サイト改善の羅針盤になります。アクセス解析がご自身で難しい場合もAIミライデザイナーにご依頼いただくことで毎月コンサルのような形でサポートできますので、お問い合わせいただけますと幸いです。

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この記事の監修者

脇村 隆

1997年のインターネット黎明期よりWeb制作に従事。イニット(現・トランスコスモス)、ぴあデジタルコミュニケーションズ、NRIネットコム等にて、HTMLコーダー、ディレクター、プロデューサー、コンサルタントとして大手企業Webサイト構築の下流から上流まで一貫して担当。
コーポレート/サービス/金融機関サイトの再設計や情報設計を軸に、自然検索からの集客向上とCV改善を多数実現。2012年にプラス・ムーブメント合同会社を設立し、14期目を迎える現在もWebサイト制作・PR支援を展開。商工会・自治体をはじめ公的機関案件を12年連続で継続支援し、運用内製化や業務効率化(kintone等)まで伴走。
単著『アフィリエイターのためのWeb APIプログラミング入門』をはじめ、各種セミナー登壇多数。GUGA 生成AIパスポート(2025年6月取得)を保有。
現在は「AIミライデザイナー」代表として、戦略立案からWebサイト実装・SEO対策、集客後のAI・DX推進までを伴走型でワンストップ提供。