【保存版】画面遷移図の全て|目的、作り方、ツール、記号、テンプレートを網羅
Webサイトやアプリケーション開発において、「画面遷移図」はチーム内の認識を合わせ、開発をスムーズに進めるために不可欠なドキュメントです。しかし、「何から始めれば良いかわからない」「どうやって作れば分かりやすくなる?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
この記事では、画面遷移図の基本的な作り方から、作成する目的、役立つツール、具体的な記号やテンプレート例まで、開発担当者が知りたい情報を網羅的に解説します。この記事を読めば、あなたも自信を持って画面遷移図を作成し、プロジェクトを成功に導くための第一歩を踏み出せるはずです。
画面遷移図とは?目的と重要性を理解しよう
Webサイトやアプリケーション開発において、画面遷移図はプロジェクトを円滑に進める上で非常に重要な役割を担います。ここでは、画面遷移図がどのようなものか、そしてなぜ開発において不可欠なのかを深く掘り下げていきましょう。
画面遷移図の定義
画面遷移図とは、Webサイトやアプリケーションにおけるユーザーの操作と、それによって変化する画面の流れを視覚的に表現した図のことです。ユーザーがどのような経路をたどり、どの画面からどの画面へ移動するのか、その途中でどのようなアクション(ボタンクリック、入力など)が発生するのかを明確に示します。これにより、システム全体の構造やユーザー体験(UX)を開発チーム全体で共有し、理解を深めるための共通言語として機能します。
画面遷移図を作成する目的
画面遷移図を作成する主な目的は、開発プロセスにおける「認識のズレ」をなくし、効率的かつ高品質なプロダクト開発を実現することにあります。具体的には、以下のような目的が挙げられます。
- 開発チーム内の認識合わせ: デザイナー、エンジニア、企画担当者など、異なる職種のメンバーが共通の理解を持つことで、手戻りや誤解を防ぎます。
- ユーザー体験(UX)の可視化: ユーザーがサービスをどのように利用するかを具体的にイメージし、最適なユーザーフローを設計するために役立ちます。
- 手戻りの削減: 開発の初期段階で問題点や改善点を発見し、手戻りによるコストや時間のロスを最小限に抑えます。
- 仕様変更への対応容易化: 画面の追加や削除、遷移ルールの変更が発生した場合でも、図を更新するだけで影響範囲を明確に把握できます。
特に、プロジェクトの初期段階で画面遷移図を作成することは、関係者全員が同じ完成形をイメージするための強力なツールとなります。
画面遷移図を作成するメリット・デメリット
画面遷移図の作成には、多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらを理解しておくことで、より効果的に画面遷移図を活用できるようになります。
メリット
- 開発効率の向上: 画面と画面のつながりが明確になるため、開発者は必要な画面や機能、データの流れをスムーズに把握でき、実装作業を効率的に進められます。
- 認識齟齬の防止: チームメンバー間だけでなく、クライアントや関係者との間で、画面の動きやユーザーフローに関する共通認識を構築できます。これにより、「言った」「言わない」といったトラブルを未然に防ぎます。
- テスト計画の立案容易化: ユーザーの操作経路が可視化されることで、テストケースの洗い出しや網羅性の確認がしやすくなり、品質の高いテスト計画を立てられます。
- ドキュメントとしての資産価値: プロジェクトが終了した後も、画面遷移図はシステムの仕様を理解するための重要なドキュメントとして機能し、将来的な改修や機能追加の際に役立ちます。
デメリット
- 作成・維持コスト: 画面数が多い大規模なシステムの場合、作成に時間と労力がかかります。また、仕様変更のたびに図を更新する必要があり、その維持にもコストが発生します。
- 複雑化のリスク: あまりにも多くの情報を詰め込みすぎると、かえって図が複雑になり、視認性が低下する可能性があります。必要な情報とそうでない情報の取捨選択が重要です。
- 過度な詳細化による柔軟性の低下: 細かすぎるレベルで画面遷移図を作成すると、開発途中で仕様変更があった際に、図の修正に膨大な手間がかかり、柔軟な対応が難しくなることがあります。プロジェクトのフェーズや目的応じて、適切な詳細度を見極める必要があります。
画面遷移図の基本構成要素と作成手順
このセクションでは、画面遷移図を構成する基本的な要素と、具体的な作成手順について詳しく解説します。これらの知識を身につけることで、チーム内で認識を共有し、スムーズな開発を進めるための効果的な画面遷移図を作成できるようになるでしょう。
画面遷移図の種類
画面遷移図と一言でいっても、その表現方法や目的によっていくつかの種類があります。ここでは、代表的な図の種類と、画面遷移図との関連性について解説します。
- ユーザーフロー図(User Flow Diagram): ユーザーが特定のタスクを達成するために、どのような経路をたどってシステムを操作するかを視覚化したものです。ユーザーの行動を中心に、画面間の遷移や分岐、システムからの応答などを詳細に表現します。画面遷移図は、このユーザーフロー図の一部として、画面間の具体的なつながりを示す役割を担うことが多いです。
- サイトマップ(Sitemap): Webサイト全体の階層構造を示す図です。各ページの親子関係や全体像を把握するのに役立ちますが、個々の画面間の具体的な遷移や操作は表現されません。
- タスクフロー図(Task Flow Diagram): 特定のタスクを完了させるための一連の操作や判断プロセスを図にしたものです。ユーザーフロー図と似ていますが、より具体的なタスクに焦点を当て、そのタスクを完了させるための手順を詳細に示します。
これらの図はそれぞれ異なる目的を持ちますが、相互に関連し合い、ユーザー体験を多角的に分析・設計するために利用されます。画面遷移図は、特にユーザーがどのような画面を経て目的を達成するのか、その具体的な「道筋」を示す点で重要です。
基本的な構成要素(画面、遷移、アクションなど)
画面遷移図は、いくつかの基本的な構成要素の組み合わせで成り立っています。これらの要素を正しく理解し、適切に表現することが、分かりやすい画面遷移図を作成する上で不可欠です。
画面遷移図の主な構成要素は以下の通りです。
- 画面(Screen/Page):
- ユーザーが情報を見たり操作したりするインターフェースの単位です。四角形や角丸四角形で表現され、画面名やIDが記述されます。
- 例:「トップページ」「商品詳細画面」「ログイン画面」など。
- 遷移(Transition):
- ある画面から別の画面へ移動する流れを示します。矢印で表現され、どの画面からどの画面へ移動するかを示します。
- 例:トップページから商品一覧ページへ移動する矢印。
- アクション(Action/Event):
- 遷移を引き起こすユーザーの操作やシステム側のイベントです。遷移の矢印の近くにテキストで記述されます。
- 例:「ボタンクリック」「リンクタップ」「フォーム送信完了」「データ取得成功」など。
- 注釈(Annotation/Note):
- 画面や遷移に関する補足情報や特記事項を記述します。詳細な条件、エラー処理、重要なビジネスロジックなどを説明する際に使用します。
- 例:「ログイン失敗時はエラーメッセージを表示」「購入完了後、自動でメール送信」など。
- 条件分岐(Conditional Branch):
- 特定の条件によって遷移先が変わる場合を示します。ひし形や分岐記号で表現され、条件に応じて異なる矢印が伸びます。
- 例:「ログイン済みの場合」「管理者権限の場合」など。
これらの要素を適切に組み合わせることで、ユーザーがシステム内でどのように移動し、どのような操作を行うかを明確に表現できます。
画面遷移図の作成手順
画面遷移図の作成は、以下のステップに沿って進めることで、効率的かつ網羅的に行うことができます。
- 目的設定: まず、何のために画面遷移図を作成するのか、その目的を明確にします。例えば、「新規機能のユーザーフローを共有する」「既存システムの改修範囲を特定する」など、目的によって図の詳細度や表現方法が変わってきます。この段階で、対象とするユーザーやシナリオも想定しておきましょう。
- 画面洗い出し: プロジェクトの要件定義やワイヤーフレームを参考に、システムに必要な画面をすべてリストアップします。このとき、画面の名称やID、主要な機能などを整理しておくと後の作業がスムーズになります。具体的な画面デザインが決まっていなくても、画面の役割が分かれば問題ありません。
- 遷移定義: 洗い出した画面同士がどのように繋がり、ユーザーがどのようなアクションで画面間を移動するのかを定義します。例えば、「ログインボタンクリックでログイン完了画面へ」「商品画像タップで商品詳細画面へ」といった具体的な遷移とアクションを洗い出します。条件分岐が発生する箇所もここで明確にしておきます。
- 図示化: 定義した画面、遷移、アクション、条件分岐などを、ツールを使って図として表現していきます。前述の基本的な構成要素(画面、矢印、テキストなど)を用いて、視覚的に分かりやすく配置することが重要です。この際、一貫した記号や表記ルールを用いることで、誰が見ても理解しやすい図になります。複雑なフローは、複数の図に分割して表現することも検討しましょう。
- レビュー: 作成した画面遷移図は、チームメンバーや関係者(開発者、デザイナー、企画担当者、クライアントなど)と共有し、レビューを行います。認識の齟齬がないか、抜け漏れがないか、非効率なフローがないかなどを確認し、必要に応じて修正を加えましょう。このレビューを通じて、開発の手戻りを防ぎ、プロジェクト全体の品質向上に繋げることができます。
これらのステップを順に進めることで、体系的かつ効果的に画面遷移図を作成し、プロジェクトのコミュニケーションを円滑に進めることができます。
画面遷移図作成に役立つツール紹介
画面遷移図の作成は、手書きでも可能ですが、より効率的かつ視覚的に分かりやすい図を作成するためには、専用のツールを活用するのがおすすめです。ここでは、代表的な画面遷移図作成ツールと、無料・有料ツールの選び方について解説します。
代表的な画面遷移図作成ツール
画面遷移図の作成には、多種多様なツールが存在します。ここでは、特にWebサイトやアプリケーション開発の現場でよく利用される代表的なツールをいくつかご紹介します。
- Figma(フィグマ): UI/UXデザインの主流ツールであり、画面設計からプロトタイプ作成、画面遷移図まで一貫して行えます。共同編集機能が強力で、リアルタイムでのチーム作業に適しています。Webブラウザベースで動作するため、環境を選ばずに利用できる点も大きなメリットです。
- Miro(ミロ): オンラインホワイトボードツールとして知られ、自由度の高いキャンバス上で画面や遷移を自由に配置し、図を作成できます。ブレインストーミングやワークショップなど、複数人でのアイデア出しから画面遷移の検討まで活用できます。
- Cacoo(カクー): 日本の企業が開発したオンライン作図ツールで、豊富なテンプレートと直感的な操作性が魅力です。画面遷移図はもちろん、ワイヤーフレームやフローチャートなど、様々な図を作成できます。複数人での共同編集にも対応しています。
- draw.io(ドローアイオー / diagrams.net): 無料で利用できる高機能なオンライン作図ツールです。シンプルなインターフェースながら、多様な図形やコネクタが用意されており、画面遷移図も手軽に作成できます。Google DriveやDropboxなどのクラウドストレージと連携して保存できる点も便利です。
これらのツールはそれぞれ特徴が異なるため、プロジェクトの規模やチーム体制、必要な機能に応じて最適なものを選ぶことが重要です。
無料・有料ツールの比較と選び方
画面遷移図作成ツールを選ぶ際には、無料ツールと有料ツールのどちらを選ぶか、機能性やコストパフォーマンスを考慮する必要があります。
無料ツールのメリット・デメリット
- メリット: コストがかからないため、個人での利用や小規模なプロジェクト、試用段階に適しています。手軽に始められるため、気軽に画面遷移図作成を体験できます。
- デメリット: 機能が限定的であったり、保存できるファイル数に上限があったりする場合があります。共同編集機能が不十分な場合もあり、チームでの本格的な利用には向かないことがあります。代表例としては、draw.ioやFigmaのStarterプランなどが挙げられます。
有料ツールのメリット・デメリット
- メリット: 高度な機能が利用でき、大規模なプロジェクトやプロフェッショナルな現場での利用に適しています。共同編集機能やバージョン管理機能が充実しており、チームでの作業効率を大幅に向上させられます。サポート体制が整っている点も安心です。
- デメリット: 利用料金がかかるため、予算を考慮する必要があります。ツールの習得に時間がかかる場合もあります。代表例としては、Figmaの有料プラン、Adobe XD、Miro、Cacooなどが挙げられます。
ツールの選び方のポイント
- チーム規模と共同編集の必要性: 複数人で作業する場合、リアルタイムでの共同編集機能やコメント機能が充実しているツール(Figma, Miro, Cacooなど)がおすすめです。
- 必要な機能: デザインカンプから直接画面遷移図を作成したい場合はUI/UXデザインツール(Figma, Adobe XD)、フローチャートのように自由に構成したい場合はオンラインホワイトボードツール(Miro, Cacoo, draw.io)が適しています。
- 予算: 無料で始めたい場合はdraw.ioやFigmaのStarterプラン、継続的な利用や高度な機能を求める場合は有料ツールを検討しましょう。
- 既存ツールとの連携: 既に利用しているデザインツールやプロジェクト管理ツールとの連携がスムーズかどうかも確認すると良いでしょう。
これらの点を考慮し、プロジェクトの特性やチームのニーズに合った最適なツールを選定することで、画面遷移図作成の効率と品質を向上させることができます。
画面遷移図の記号・表記ルールとテンプレート
画面遷移図を効果的に作成するためには、共通の記号や表記ルールを理解し、目的に応じたテンプレートを活用することが重要です。ここでは、一般的な記号の意味と、実際のプロジェクトで役立つテンプレートの活用方法について解説します。
一般的な画面遷移図の記号
画面遷移図では、ユーザーの操作やシステムの動きを視覚的に表現するために、いくつかの標準的な記号が用いられます。これらの記号を理解することで、誰が見ても分かりやすい図を作成できます。
主に以下のような記号が使われます。
- 画面(Screen/Page):
- 通常は長方形や角丸長方形で表現され、Webページやアプリケーションの画面を表します。画面名やIDを記述します。
- 遷移(Transition):
- ある画面から別の画面への移動を示し、矢印で表現されます。遷移のトリガーとなるユーザーアクション(例:「ボタンクリック」「リンク選択」)やシステムの挙動を矢印の上に記述します。
- アクション(Action/Event):
- ユーザーが行う操作(例:「ログイン」「検索」「購入」)や、システムが実行する処理を表します。画面内で発生する特定のイベントとして記述されることもあります。
- 条件分岐(Decision):
- ひし形(ダイヤモンド)で表現され、特定の条件によって遷移先が異なる場合に使用します。条件(例:「ログイン成功/失敗」「商品在庫あり/なし」)を記述し、それぞれの条件に応じた遷移の矢印を引きます。
- データフロー(Data Flow):
- データの入力、処理、出力といった流れを示す記号です。画面遷移図では簡略化されることも多いですが、システム全体のデータ連携を詳細に表現する際に利用されます。
- 注釈(Annotation):
- 四角形や吹き出し、点線などで表現され、図を補足する説明や注意点を記述します。特定の記号では表現しきれない詳細情報や背景を伝える際に役立ちます。
これらの記号は、UML(統一モデリング言語)のアクティビティ図など、他の図法と共通する部分も多くあります。ただし、使用するツールやチームの慣習によって、記号の形状や詳細な表記方法に若干の揺れが生じる場合があるため、プロジェクト開始時に認識を合わせておくことが重要です。
テンプレート例と活用方法
画面遷移図の作成を効率化し、品質を向上させるためには、既存のテンプレートを参考にすることが非常に有効です。ここでは、いくつかのプロジェクトタイプに応じたテンプレートの考え方と、それを活用する際のポイントを解説します。
1. ECサイトの購入フロー ECサイトの購入フローは、ユーザーが商品をカートに入れ、注文を確定するまでの一連のプロセスです。
- テンプレートの考え方: 「商品詳細ページ」→「カートページ」→「レジ(配送先・支払い方法選択)」→「注文確認」→「注文完了」といった主要な画面を軸に、各画面でのユーザーアクション(「カートに入れる」「次へ進む」)や、エラー発生時の分岐(「入力エラー」「在庫切れ」)を明確にします。
2. ユーザー登録・ログイン機能 多くのWebサービスやアプリケーションで必要となるユーザー登録とログイン機能も、テンプレート化しやすい部分です。
- テンプレートの考え方: 「新規登録ページ」→「入力内容確認」→「登録完了」や、「ログインページ」→「認証処理」→「ログイン成功/失敗」といった流れを基本とします。パスワードリセットやソーシャルログインといった派生フローも考慮に入れるとより網羅的になります。
3. 管理画面・ダッシュボード 管理者や運用担当者が利用する管理画面やダッシュボードは、操作が多岐にわたるため、全体像を把握しやすいテンプレートが求められます。
- テンプレートの考え方: 「ダッシュボード」を起点に、各機能(「ユーザー管理」「商品管理」「レポート」など)へのリンクと、それぞれの機能内でのサブフロー(「新規追加」「編集」「削除」)を階層的に表現します。
テンプレートを活用する際のポイント
- 目的に合わせてカスタマイズ: テンプレートはあくまで出発点です。プロジェクトの要件や複雑さに応じて、不要な要素は削除し、必要な要素を追加・詳細化しましょう。
- チーム内で共有: テンプレートの使用ルールや表記方法を事前にチーム内で共有し、一貫性のある図を作成することが重要です。
- 再利用性を考慮: よく使うフローや共通のUIパターンは、汎用的なテンプレートとして保存しておくと、今後のプロジェクトで再利用でき、効率が向上します。
- ツール固有の機能の活用: 使用するツールにテンプレート機能やライブラリがある場合は積極的に活用し、作成時間を短縮しましょう。
これらのテンプレート例を参考に、ご自身のプロジェクトに最適な画面遷移図を作成してください。
画面遷移図と他の設計図との違い
Webサイトやアプリケーション開発では、画面遷移図以外にもさまざまな設計図やドキュメントが作成されます。これらはそれぞれ異なる目的と役割を持ち、開発フェーズに応じて使い分けられます。ここでは、特に混同されやすいワイヤーフレームとプロトタイプとの違いについて解説し、それぞれの適切な活用方法を理解していきましょう。
ワイヤーフレームとの違い
画面遷移図とワイヤーフレームは、どちらもWebサイトやアプリケーションの設計に用いられますが、その役割は大きく異なります。
画面遷移図は、ユーザーがアプリケーション内をどのように移動するか、「画面間の流れ」や「ユーザーの行動経路」を視覚的に示すものです。どの画面からどの画面へ遷移するのか、その際にどのようなアクション(ボタンクリック、フォーム入力など)が発生するのかを明確にします。
一方、ワイヤーフレームは、個々の画面がどのような要素で構成されているか、「画面内の要素配置」や「情報構造」を示す設計図です。ボタン、テキストボックス、画像などのUI要素がどこに配置されるか、どの程度の大きさで表示されるかなどを、シンプルに線と箱で表現します。
| 項目 | 画面遷移図 | ワイヤーフレーム |
|---|---|---|
| 主な目的 | ユーザーの行動フローと画面間のつながりを定義 | 画面内の情報配置とUI要素の構造を定義 |
| 表現内容 | 画面と画面のつながり、遷移の条件、アクション | 画面内の要素(ボタン、テキストなど)の配置、構成 |
| 表現形式 | フローチャート形式 | 画面のスケッチ、レイアウト図 |
| 主な利用者 | 企画、デザイナー、エンジニア、テスター | 企画、デザイナー、エンジニア |
| 作成フェーズ | 企画・要件定義〜基本設計 | 企画・要件定義〜基本設計 |
プロトタイプとの違い
プロトタイプもまた、Webサイトやアプリケーションの設計段階で活用されますが、画面遷移図とはその性質が大きく異なります。
画面遷移図が「静的な設計図」であるのに対し、プロトタイプは「実際に操作可能な試作品」です。プロトタイプは、画面遷移図で定義された画面間の流れや、ワイヤーフレームで設計された画面内の要素配置を基に、より具体的なユーザー体験を検証するために作成されます。
プロトタイプは、実際の操作感を伴うため、ユーザーテストを通じてUI/UXの問題点を早期に発見したり、ステークホルダーとの合意形成をスムーズに進めたりするのに役立ちます。低 fidelity(忠実度)なものから高 fidelity なものまで、目的や開発フェーズに応じてさまざまなレベルのプロトタイプが存在します。
| 項目 | 画面遷移図 | プロトタイプ |
|---|---|---|
| 主な目的 | ユーザーの行動フローと画面間のつながりを定義 | ユーザー体験の検証、操作感の確認、フィードバック収集 |
| 表現内容 | 画面と画面のつながり、遷移の条件、アクション | 実際の操作に近い画面、インタラクション、アニメーション |
| 表現形式 | フローチャート形式 | クリック可能なモックアップ、インタラクティブなUI |
| 主な利用者 | 企画、デザイナー、エンジニア、テスター | 企画、デザイナー、エンジニア、ユーザー(テスト時) |
| 作成フェーズ | 企画・要件定義〜基本設計 | 基本設計〜詳細設計、UI/UX検証 |
これらの設計図はそれぞれ独立して存在するのではなく、開発フェーズに応じて連携し、相互に補完し合うことで、より高品質なプロダクト開発に貢献します。
画面遷移図作成のコツと注意点
画面遷移図は、単に画面の繋がりを羅列するだけでなく、プロジェクトを成功に導くための強力なツールです。ここでは、より分かりやすい画面遷移図を作成するためのポイントと、よくある失敗例とその対策について解説します。
分かりやすい画面遷移図を作成するためのポイント
ユーザーにとって直感的で、開発チーム全員が共通認識を持てる画面遷移図を作成するには、いくつかの重要なポイントがあります。
- ユーザー視点での作成を心がける 単に機能の繋がりだけでなく、「ユーザーが何 accomplish したいのか」「どのような感情で画面を操作するのか」といったユーザー体験(UX)を意識して作成しましょう。例えば、ユーザーがログイン後に「次に何がしたいか」を予測し、それに合わせた遷移を設計することで、より使いやすいサービスにつながります。
- 一貫性のある記号と表記ルールを使用する プロジェクト内で使用する記号や表記ルールは統一し、一貫性を保つことが重要です。ツールによっては独自の記号がありますが、チーム内で共通の認識を持つことで誤解を防ぎ、スムーズなコミュニケーションを促します。
- 適度な粒度で情報を整理する 全ての情報を一つの図に詰め込みすぎると、かえって分かりにくくなります。全体像を把握するための高レベルな図と、特定の機能に特化した詳細な図を使い分けるなど、目的に応じて粒度を調整しましょう。
- 最新性を維持し、常に更新する 開発は常に変化するため、画面遷移図も常に最新の状態に保つことが重要です。機能追加や変更があった際には、速やかに図を更新し、関係者に共有する仕組みを作りましょう。
- ツールを効果的に活用する 手書きや汎用ツールでも作成できますが、専用の画面遷移図作成ツールを活用することで、効率的に作成でき、修正も容易になります。共同編集機能があるツールを選べば、チームでの作業もスムーズです。
- 関係者との密なコミュニケーションを怠らない 画面遷移図は、開発者、デザイナー、企画担当者など、多くの関係者との認識合わせのために存在します。作成したら終わりではなく、定期的にレビューを行い、フィードバックを積極的に取り入れながら改善していく姿勢が大切です。
よくある失敗例とその対策
実務で画面遷移図を作成する際、陥りがちな失敗と、その効果的な対策を知っておくことで、手戻りを減らし、効率的な開発を進めることができます。
- 記号の乱用や独自の記号定義 多すぎる記号や、チーム内で合意されていない独自の記号を使用すると、図の解読に時間がかかり、誤解が生じやすくなります。 対策: 一般的な記号ルールを基本とし、やむを得ず独自の記号を使う場合は、凡例(レジェンド)を必ず設け、関係者全員に周知徹底しましょう。
- 更新不足による情報の陳腐化 開発途中で仕様変更があったにもかかわらず、画面遷移図が更新されないまま放置されると、図と実際のシステムとの間に乖離が生じ、混乱の元となります。 対策: 画面遷移図の更新タイミングを明確にし、変更があった際には担当者を決めて確実に更新する運用ルールを設けましょう。バージョン管理も重要です。
- 過度な詳細化、または情報不足 すべての細かな挙動まで図に盛り込もうとして複雑になりすぎたり、逆に必要な情報が不足していて意図が伝わらなかったりすることがあります。 対策: 画面遷移図の「目的」に立ち返り、必要な情報を見極めることが重要です。UIの細部はワイヤーフレームやプロトタイプに任せるなど、他のドキュメントとの役割分担を明確にしましょう。
- 関係者との認識齟齬 作成者と他のメンバーの間で、画面の意図や遷移の解釈にズレが生じることがあります。これは、口頭での説明不足や、図の表現があいまいな場合に起こりやすいです。 対策: 定期的なレビュー会を設け、図を見ながら具体的なフローを説明し、質問や疑問をその場で解消する場を設けることが不可欠です。
- 作成目的の不明確さ 「とりあえず作る」という目的意識の低い状態で作成された画面遷移図は、誰にとっても有用なものになりにくいです。 対策: 作成を始める前に、「この画面遷移図で何を伝えたいのか」「誰が、何のために使うのか」という目的を明確にしましょう。目的が明確であれば、必要な情報や表現方法も自然と定まってきます。
まとめ:画面遷移図で開発を成功させよう
この記事では、Webサイトやアプリケーション開発において不可欠な「画面遷移図」について、その定義から目的、作成方法、ツール、記号、そして他の設計図との違いまで、網羅的に解説してきました。
画面遷移図は、単に画面のつながりを示すだけでなく、ユーザー体験を考慮した設計の基盤となり、開発チームや関係者間の認識齟齬を防ぎ、手戻りを削減するための重要なコミュニケーションツールです。
本記事でご紹介した知識やノウハウを活用し、ぜひあなたのプロジェクトで質の高い画面遷移図を作成してください。適切なツールを選び、基本的な構成要素と手順を理解し、ユーザー視点を取り入れることで、開発プロセスはよりスムーズになり、最終的にはユーザーに価値あるプロダクトを届けられるはずです。
画面遷移図を効果的に活用し、プロジェクト成功への道を切り開きましょう。